レガシーフリー化 (FDD)



フロッピーの落日

前回に引き続き、 デスクトップ PC の更改に向け、 更改後に使用できなくなることが想定されるデバイスをピックアップしていく。

今回はフロッピーディスクドライブ(以下、FDD)について見てみよう。 前回 2004 年頃に PC 更改した時、すでに FDD はレガシーデバイスと呼ばれていて、 メーカー製 PC などでは搭載されていないものも、かなりあったように記憶している。 とはいえ、自作 PC の世界で使用されるマザーボードには、まだまだ FDD の インタフェース(以下、I/F)が搭載されていて、 ドライブを接続すれば使える状態であった。

ところが、現代的なマザーボードでは FDD I/F は搭載されていない。 FDD が生産されなくなった、というニュースを聞いたのは、 数年前だったように記憶している。 ドライブだけでなく、フロッピーディスク(以下、FD)メディアも、 ここ数年、メーカが生産撤退するというニュースをいくつも聞いたと思う。 こんな状況下では、マザーボードに FDD I/F が搭載されていないのも当たり前、 といったところだろう。

現在販売されている内蔵 FDD

では、どうするか。 維持していくにはどうすればよいか考えていた頃、 最初に目に付いたのは オウルテック FA404MX/BOX のような製品だった。 これは FDD とカードリーダが一体化されて 3.5 インチベイに収まるようになっている。 USB 2.0 対応とうたわれていて、 これなら FDD I/F が無くなっても安心、と勘違いをしていた。 そう、この製品は、FDD の駆動には、あくまでも FDD I/F が必要で、 カードリーダ部が USB 2.0 になっているだけだった。 これでは全然意味が無い。

と、失望していたが、 しばらくってから、 上記製品に USB 変換基盤が内蔵された オウルテック FA404MXU(B)/BOX のような製品が発売された。 これなら FDD I/F が無くても問題ない。 というわけで購入しそうになったが、よく考えてみると、 現在使用している FDD が使えるわけではない。 そこで、同様の USB 変換基盤が単体で販売されていないか、 探してみたが、残念ながら見つけることができなかった。

現在使っている FDD

現在使っている FDD は、かなり古く、Windows 98 登場前に購入したもので、 TOMCATというブランドの 3 mode FDD だ。 当時は NEC PC-9801 シリーズのパソコンと併用していたため、 NEC 系の 2HD 1.2 MB FD の読み書きができる FDD が必要だった。 当時は様々な 3 mode FDD が出回っていたが、TOMCAT は、 どんな機種の PC でも 3 mode で動作する、 正確に書くと、どんなフロッピーディスクコントローラ (以下、FDC)であっても、3 mode で動作させることができるという ことが売り文句だった。 当時出回っていた多くの 3 mode FDD が、FDC によっては 3 mode にならないとか、 いろいろと制約が多かった中、この売り文句が気に入って購入したものだ。

あまり意味は無さそうだが、knoppix 7.0.2 の dmesg を抜粋すると以下の通りとなる。 何となく FDD I/F に接続した場合は、どんなドライブだろうが、 以下のようになる気がする。 また、1.44M と認識しているが、 単に BIOS の設定値を読み取っているだけにも思える。


Floppy drive(s): fd0 is 1.44M
FDC 0 is a post-1991 82077

どんな機種であっても 3 mode になる、といっても、 専用のドライバをインストールする必要があった。 実は、そんな特殊な FDD やドライバを用意せずとも、普通の 3 mode FDD で、 ハードウェア的に手動で切り替えてしまう、 という方法もあったようだが、そこまでは知らなかった。 今だったら、下手にドライバを用意するよりは、 手動切り替えの方が、どんな OS でも使える可能性が高く、 スジが良いようにも思える。

昔は必要性もあったので、ドライバを入れて 3 mode を使っていたが、 だんだんと 2HD 1.2 MB FD を使う頻度は下がり、 Windows 2000 の頃には 2HD 1.44 MB FD しか使わなくなっていた。 また、Windows 2000 登場前の製品に Windows 2000 用ドライバが 付属しているわけも無く、ドライバもインストールせず、 通常の 2 mode FDD として使用していた。 最近になって気が付いたが、 Windows XP までであればドライバが用意されているようではあるが、 特にインストールしていなくても困った覚えがないぐらい、 2HD 1.2 MB FDD が必要になった例がない。

さらに、ここ数年は、 そもそも FD を使おうとしたこと自体が、ほとんど無かった。 とはいえ、以前は FD を大量に使っていたので、 かなりの数のメディアが残っているだろうし、 その中のどこかに 2HD 1.2 MB FD が眠っていて、 今後そのデータを確認したいということも起きるだろう。 前述の FA404MXU(B)/BOX は 2HD 1.2 MB FD だけではなく、USB 接続の場合は 2DD 720 KB FD すらも使えない 1 mode FDD になってしまうようだ。 そういう FD が全然無いのであればそれでもいいのだが、 少なくとも 2DD 720 KB FD は結構あるので困る。

外付け FDD

そうすると、次に候補へ浮上してくるのは、外付けの FDD だ。 どうせ使用頻度は、かなり低いのだし、使おうと思ったときだけつなげればよい、 という発想だ。 店頭でも、外付けの USB FDD が売られているのは、結構目にする。 しかし、前述のとおり、現在は既に FDD が生産されていないので、 現在新品として売られている外付け USB FDD であっても、箱をよく見ると、 ドライブ自体は中古品の再生品であることが明記されていたりする。

実は PCMCIA の FDD なら持っている。 ノート PC で使うために入手したものだ。 その頃は FD を多用していて、 FDD が無いと話にならないぐらい必須のアイテムだった。 その後、新しいノート PC を購入した際、 オプションに USB FDD もあったのだが、購入しなかった。 その頃には既に FD は過去の遺産になっており、 ほとんど出番がなかったというのもあるが、 どうせデスクトップ PC にも FDD は付いているし、 いざとなれば、PCMCIA FDD も使えるので、という理由だった。 そのときに USB FDD を買っていれば新品のドライブを入手できていたのだが、 今となっては後の祭りだ。

また、現在販売されている外付け USB FDD は、2 mode のようだ。 これでは残念ながら目的に合わない。

方針

結局、前回と同様、どうにもならない、 という結論になってしまった。 方針としても、メディアが MO から FD に変わっただけで、 まったく同じだ。つまり、 PC更改までのに、すべての FD メディアを探し出し、 データをバックアップしてから消去、破棄、 ということを順次進めていく。 ただし、MO に比べれば、更改後であっても PCMCIA FDD は使えるので、 保険が無いわけでもない。 また、外付け USB FDD で 3 mode のものが手ごろな価格であれば、 購入対象になり得る。この際、中古品でもかまわないと思っている。 どうせ新品ドライブを買っても中身は中古だ。 また、既に生産されていない以上、ある程度出回ったら、 その後は入手困難になることが予想される。 値段次第ではあるが、いいものが見つかったら即購入もアリだと思っている。 といったところで、今回はここまでである。古い I/F については、 まだあるので、回を改めたい。