フリーソフトで PDF を作成する方法

2003 年 10 月 3 日:東風フォント CID 版が配布停止になっているので Windows 付属の TrueType を使用し NeverEmbed するように変更
2003 年 5 月 8 日:PS プリンタドライバの詳細設定を追加、微修正
2003 年 5 月 7 日:フォントを埋め込まないように変更
2003 年 5 月 6 日:微修正
2003 年 1 月 31 日:プリンタの名前を変更、Tips を追加
2002 年 6 月 19 日:更新


はじめに

PDF を作成するには、Adobe の Acrobat などに付属している Acrobat Distiller を使用するのが普通です。 しかし、このソフトは市販品であり、購入しなければ使えません。 (Acrobat Reader は無料でダウンロードできますが、Acrobat は市販品です) そこで、フリーソフト等を利用して PDF を作成する方法をまとめてみました。

もちろん、フリーソフトを使用するよりも、市販品の Distiller を使用したほうが、簡単にキレイでファイルサイズの小さい PDF ができます。 書いてある内容がよくわからない場合には、 素直に Acrobat を購入されることをお勧めいたします。

Windows XP での例ですが、Windows 2000 でも、ほぼ同様にできます。 Windows 95/98/Me では、多少異なりますが、設定内容などを同じにすれば、 できると思います。

この方法は、あくまでも一例です。 もっといい設定や方法などがあるかもしれません。

方法

PDF を作成できるフリーソフトはいくつかあります。 ここでは Ghostscript を用いて PostScript ファイルから PDF へ変換する方法をとります。

Distiller でも PDF 作成には、 いったん PostScript ファイルが作成され、それを PDF に変換しています。 その工程が自動化されていて、ユーザの目に触れないようになっているだけです。

準備

まず、必要となるソフトやドライバのインストール・設定を行います。

以下、ファイル名の拡張子を表示する設定にしてから作業をすることをお勧めします。 設定方法はご自分でお調べください。

Ghostscript

PostScript ファイルを読み込んで、 表示・印刷・変換などを行うことのできるソフトです。 Ghostscript のインストールと設定を参考に、インストールと設定を行ってください。

PostScript

Ghostscript で PostScript ファイルから PDF への変換ができます。 通常の Windows アプリケーションから PostScript ファイルを作れれば、 PDF の作成ができるということになります。 PostScript はプリンタなどで利用されているので、 PostScript プリンタドライバをインストールして、 そこへ印刷すれば PostScript ファイルを作成することができます。 PostScript プリンタドライバのインストールを参考に、インストールを行ってください。

原稿の作成

まずは、PDF にしたい原稿を用意します。 プリンタに印刷できるソフトならば、何を使っても OK です。 Microsoft Office の Word や PowerPoint でもいいですし、 Windows 付属のワードパッドでもできます。

ここでは、ワードパッドを例にして作成してみます。
ワードパッド
といった原稿を PDF 化してみます。 原稿のファイルを置いておきます。

フォントは以下のフォントのみを使用してください。 それ以外のフォントがあると、PDF が、きたなくなったり、 うまく作成できなくなるかもしれないばかりでなく、 フォントが PDF に埋め込まれてしまい、 ライセンス上の問題が発生することがあります。 特に、Microsoft Office ではデフォルトで Century が使われますが、 すべて Times New Roman 等に置き換えてください。 また、MSP明朝、MSPゴシックは使わないで下さい。

PDF ファイルの作成

まず、PostScript ファイルを作成して、それを PDF に変換します。

PostScript ファイルの作成

原稿を印刷することによって PostScript ファイルを作成します。

使用しているソフトで印刷ダイアログを出してみます。
印刷ダイアログ
PostScript プリンタドライバのインストールで インストールしたプリンタドライバを選択して、 [詳細設定]ボタンを押します。

印刷設定ダイアログが出るので、 さらに[詳細設定]ボタンを押します。

詳細オプションダイアログ
TrueType フォント:デバイスフォントと代替にします。
[OK]ボタンを押します。

印刷設定ダイアログで、 [印刷]ボタンを押します。

ファイルへ出力ダイアログ
適当なファイル名(ここでは test.prn)をつけます。

作成されたファイルの拡張子を ps に変更します(ここでは test.ps になります)。 できあがった PostScript ファイルを置いておきます。

以上で PostScript ファイルのできあがりです。

PostScript ファイルから PDF への変換

コマンドプロンプトで以下のようにします。


C:\tmp>ps2pdf14 test.ps test.pdf
%%[ ProductName: GNU Ghostscript ]%%
*** unembeddable CIDFont: /GothicBBB-Medium
*** unembeddable CIDFont: /Ryumin-Light
%%[Page: 1]%%
%%[LastPage]%%

C:\tmp>exit

これで test.pdf ができあがりました。 できあがった PDF を置いておきます。

埋め込まれたフォントの確認

作成した PDF に余計なフォントが埋め込まれていないかどうか Adobe Reader で確認します。Adobe Reader は最新のものがよいと思います。 2003 年 10 月 3 日現在では、6.0 が最新版です。Adobe のサイト から探してダウンロードするか、 雑誌などの付録 CD-ROM などからインストールしましょう。

Acrobat Reader で PDF を開いたら、メニューから ファイル文章のプロパティを開き、フォントを選びます。

この文章で使用しているフォントのフォント名の部分が
Ryumin-Light, GothicBBB-Medium
Courie, Courie-Bold, Courie-Oblique, Courie-BoldOblique,
Helvetica, Helvetica-Bold, Helvetica-Oblique, Helvetica-BoldOblique,
Times-Roman, Times-Bold, Times-Italic, Times-BoldItalic,
Symbol, ZapfDingbat
のいずれかだけであることを確認してください。

フォント名の最後の部分に
「埋め込み」または「埋め込み サブセット」 と書いてあるものがないことを確認してください。 どれかひとつでも「埋め込み」や「埋め込み サブセット」 になっているフォントがある場合には、 フォントのライセンス問題が発生する場合がありますので、 元の原稿ファイルで使用しているフォントを確認してみてください。

Tips

以上の方法で作った PDF には問題点があります。 それらを解消する方法を紹介します。以下の記述がよく分からない場合には、 市販品の Acrobat をご購入されることをお勧めいたします。

フォントの種類

以上の方法では、MS明朝、MSゴシックが Ryumin-Light, GothicBBB-Medium の TrueType (CID) という種類のものとして置き換えられます。 Distiller で PDF 作成すると Type 1 (CID) になります。 Type 1 (CID) にしたい場合には、 replacecjkfonts が参考になるかもしれません。

RedMon による方法

RedMon というツールを使用すると Distiller のように、プリンタに出力するだけで、 PDF 作成が可能なようです。

その他の方法

TeX から PDF を作るには、 dvipdfm というソフトを使用したほうがキレイにできるようです。 (ここに書いてある方法でインストールした Ghostscript を併用すると、 eps ファイルを読み込むときにMS明朝、MSゴシックが 埋めこまれた PDF ができてしまいます。) もちろん、Distiller をお持ちであれば、 dvipsk (dvips) → Distiller の方がよいと思います。


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細田 真道: 連絡先